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労災事故 プレスに手を挟まれた

   
私はアルバイトとして、プレス機による穴あけ作業に従事していたところ、会社がプレス機の安全装置を取り外してあったため、安全装置の付いてない状態で作業をさせられたため、左手がプレス機に挟まれ5本の指を失いました。後遺障害等級第6級に認定されましたが、会社は労災保険が支給されるようにしてあげたからそれでいいだろうと恩着せがましく言います。労災保険金以外に損害賠償請求はできないのですか。
   
そんなことはありません。労災保険で支給される休業補償は事故当時の賃金の6割分だけです。あと2割分は特別支給金でこれは、「労働福祉事業の一環として、被災労働者の療養援助等によりその福祉増進を図るために行われるものであり、被災労働者の損害を填補する性質を有するということはできず、損害額から控除することはできない」というのが最高裁判例(最高裁平成8年2月23日、判時1560、91頁)です。
その他逸失利益も慰謝料も請求できます。
使用者は労働契約又はこれに準ずるべき法律関係にもとづき、その使用従属の下にある労働者に対し、労働者の不注意をも予測して不可抗力以外の労働災害を防止するための万全の措置をこうずるべき義務(安全保護義務)があります(最高裁昭和50年2月25日自衛隊・工藤労災事件判決〈岡村親宜編「判例先例労災職業病」損害賠償編247頁及び、岡村親宜・小林良明・山田裕祥著「労災職業病1損害賠償編」30頁以下〉参照)。
会社はこの安全保護義務を怠り、プレスの安全装置を取り外して、あなたに作業をさせていたものですから、民法第415条に基づき損害賠償の責任があります。
従って、労災保険金の外にも、損害賠償の請求ができます。
   
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