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経済成長と道徳
 

 経済成長とは何か

 中国の高度経済成長に比べ日本の沈下は著しい。2010年、ついにGDPで中国に抜かれ、中国が世界第2位に。日本も何とかしなければ。早く好景気よ来い。民主党政府は何をしているのか。これが現在の日本国民の偽らざる声であろう。  しかし、もっとマクロに見てみよう。紀元0年頃の世界の一人当たりのGDPはおよそ4万円で日本も同じ。1800年の江戸時代も日本は世界と同じで5万円。日本の成長率が突出し始めたのは1960年で、世界が25万円なのに日本は50万円。2000年では世界が50万円なのに日本は200万円。わずか40年で世界平均の4倍の高成長を達成したのである。アメリカは1800年から一貫して日本を上回っている。中国も、一人当たりGDPではまだ日本の10分の1に過ぎない。  世界水準の4倍にも膨らんだ国が、永遠に高度成長をし続けるのが当たり前という方がおかしい。膨らみ過ぎた風船はどこかで破裂するし、水は高きから低きへ流れるものである。まだまだ日本や欧米先進国の沈下は続くと見なければならない。  1万年前に新人類が誕生して、9500年間は人類の経済力に大差はなかった。近代産業革命を達成した国から高度成長し格差が出始め、先進資本主義国は中国をはじめとする近代化に目覚めていない国の収奪合戦をし、第二次大戦となった。戦後、社会主義国となった中国からみれば、自国の経済成長のため他国を収奪するなどとんでもない悪であったが、今や、中国を含めすべての国が経済成長を目標としている。オバマ大統領の不人気も経済の低迷故である。 世界中の国々が永遠に、経済成長競争を続けたならばどうなるか。森林や自然は破壊し尽くされ、エネルギーは大量消費され、CO2は大量排出され、人口も増え続け(世界の人口68億人で1年に8000万人ずつ増えている、世界の失業者は2億人)、行き着くところは人類の生息環境を破壊し尽くす自殺行動である。

価値観の転換

皆がそうするからと言ってまるでイナゴの大群のような愚かな行動はせず、経済成長ではないものを目標としなければならない。それは人間の精神生活の充実と高度化である。教養と道徳心を高め(特に若者に)、わびさびと詩歌や伝統文化の風雅を高めることを競い合うのであれば、自然を破壊することもないし、CO2を大量排出することもない。  経済成長至上主義から精神生活尊重主義へ、個々ばらばら主義から家族近隣協力主義へ。  美しい日本の自然の復活。川のせせらぎを生き返らせ自然と共生する都市、人情豊かな詩歌や絵画芸術、伝統文化の復興。これを新ルネッサンスと呼ぼう。

地球と人に優しい経済活性化の方法

 そうは言っても、今の日本は、経済停滞、政治は駄目、官僚も駄目、自信喪失、農地山林の荒廃、高失業率、未来への展望なしの最悪状態である。特に若者は、就業機会なし、ワーキングプアー、食うや食わず状態では精神生活の充実どころではない。  経済成長至上主義ではないが、老若を問わず皆がそれなりにゆとりある生活ができるような経済の活性化をする必要はある。これまでのやり方ではなく、思い切った斬新なやり方でやる必要がある。 坂本龍馬の海援隊のように、国家緊急救援隊を有志の若者数十万人規模で組織し、下記の産業再生発展のため無償で緊急投入する。秀吉が小田原城攻めのため10万人の兵と兵糧米を投入したことを考えれば、今の日本で、皆で力を合わせればできないわけはない。国や自治体や企業も資金拠出し、国民から緊急寄付を集める。国民が一人1年に1万円寄付すれば1兆円であり、若者10万人に年間100万円の救援隊費を支給できる  @ 農地改革により大規模集約し、安全でおいしい食料やバイオ燃料用の農産物を大規模生産できる体制を国を挙げて再生する。救援隊を地域ごとに投入し、未来の大規模農業経営者を育てる。救援隊は、教養と道徳、わびさびと詩歌の風雅を高める活動も併せてする。 A 荒廃した山林を同様の方法で再生し、美しい自然、水源、木材資源(バイオ燃料を含む)を取り戻す。  B 破壊された風光明媚な自然遺産、歴史的な町並みやせせらぎを同様の方法で復活させる。  C 日本の得意分野への重点的力配分。太陽光発電、燃料電池、バイオ燃料、電気自動車、省エネ送電網を組み合わせたスマートグリッド社会への大規模な切り替えを国を挙げて行う。その普及のために、上記の若者の労働力を緊急投入し、自立又は雇用の機会を創り出す。 これらを飛躍的に進展させるには、明治維新時の「殖産振興」のような国家的スローガンを掲げ、総理大臣自らが、国民に明るいかけ声をかけ、国民が一丸となって明るく奮闘努力する。  地球に貢献でき誇りを持てる夢と目標。日本はその最先端技術の普及で国内外の需要を喚起し世界のリーダーシップをとる。  省エネの技術や他人と地球への思いやりへの創意工夫には賞金や名誉の称号を。環境回復活動コンクールの優勝者には名誉と褒美を。山林・農業の再生を目指す若者の創意工夫に資金投入を。その他の創意工夫で、日本中に省エネと環境の一大ブームを巻き起こす。景気のよし悪しは、多数の人間のやる気やお祭り気分に左右される面もある。  「省エネと環境回復と精神的豊かさ」で、日本中が活力を示せば、経済はよい方向に回転し始めるであろう。

但し、経済の目的は仁であることを忘れてはならない。

   
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